牧田和久(Kazuhisa Makita)は、2018年から2019年までサンディエゴ・パドレス(San Diego Padres)に在籍した。メジャー登板は2018年の27試合・35回・防御率5.40がすべてである。サブマリン(下手投げ)が残した461球のStatcastデータでは、フォーシームが投球の63.8%を占め、空振り率は29.9%に達した。
この記事でわかること:
- 2018年の全成績と、2年380万ドル契約が2年で終わるまでの時系列
- 461球・5球種の内訳(フォーシーム63.8%・空振り率29.9%)
- 「浮き上がる真っ直ぐ」がどこまで通用したか、データで言える範囲の読み方
牧田の2018年Statcastデータを日本語で解釈したページは、確認した範囲では見当たらない(筆者調べ・2026-08-06)。本記事では、成績はMLB Stats API、球種はBaseball Savantの一次データを取得日つきで示す。経歴はWikipediaに依拠した箇所を明示する。
▶ パドレスの日本人選手は歴代6名|現役3名と全員の系譜 — 牧田を含む6名を1ページで確認できる
1. 牧田和久のメジャー成績──2018年の27登板がすべて
牧田和久は埼玉西武ライオンズからポスティングシステムでMLBに挑戦した。2018年1月6日、パドレスは2年総額380万ドルでの契約を発表している(Wikipedia・2026-08-06確認)。西武への譲渡金は50万ドルだった(同)。
メジャーでの成績は、次の1シーズンで完結する。
| 指標 | 2018年 |
|---|---|
| 登板 | 27試合 |
| 投球回 | 35回 |
| 勝敗 | 0勝1敗 |
| セーブ/ホールド | 0/2 |
| 奪三振 | 37(K/9 9.51) |
| 与四球 | 12 |
| 被本塁打 | 7 |
| 被打率 | .241 |
| 防御率 | 5.40 |
| WHIP | 1.26 |
出典:MLB Stats API(2026-08-06取得)。WHIP(1イニングあたりに許した走者数)は1.26だった。
メジャー初登板は2018年3月30日、最後の登板は同年9月29日である(MLB Stats API・2026-08-06取得)。開幕メジャー入りを果たしたが、5月7日に最初のマイナー降格を経験した(Wikipedia依拠)。
数字の内訳には濃淡がある。K/9(9イニングあたり奪三振)9.51と、三振は十分に取れていた。一方で被本塁打は35回で7本。9イニング換算では1.80本になる(筆者計算)。防御率という1つの数字は、この濃淡をきれいに塗りつぶしてしまう。平均値の宿命だ。
2. 461球・5球種の内訳──フォーシームが63.8%を占めた
Baseball Savant(Statcast)には、牧田が2018年に投じた461球の球種別データが残っている。内訳は次のとおりだ。メジャーでの登板が1シーズンで終わっても、投げた球のほうは1球単位で残る。データベースとはそういう場所である。
| 球種 | 投球数 | 使用率 | 被打率 | 空振り率 | 奪三振率 | 期待被打率 | 打球の強さ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| フォーシーム | 294球 | 63.8% | .227 | 29.9% | 28.0% | .271 | 29.6% |
| スライダー | 79球 | 17.1% | .263 | 19.4% | 14.3% | .375 | 25.0% |
| シンカー(ツーシーム) | 53球 | 11.5% | .400 | 21.4% | 18.2% | .222 | 12.5% |
| カーブ | 23球 | 5.0% | 1.000 | 25.0% | 0.0% | .807 | 0.0% |
| チェンジアップ | 12球 | 2.6% | .000 | 0.0% | 0.0% | .007 | 0.0% |
出典:Baseball Savant(Statcast)(2026-08-05取得)
指標の意味は次のとおり。
- 空振り率(whiff%):スイングされたうち空振りになった割合。決め球の質を示す
- 期待被打率(xBA):打球の速度と角度から算出した「本来なるはずの被打率」。実際との差は運の振れを示す
- 打球の強さ(hard-hit%):打球速度95マイル(約153km/h)以上の割合
表から読み取れるポイントは4つある。
- 使用率トップはフォーシームの294球(63.8%)。5球種で最も空振り率が高い(29.9%)
- スライダーは被打率.263だが、期待被打率は.375。内容は数字より苦しい
- シンカーは被打率.400に対し期待被打率.222。打球の強さ12.5%で、当たり自体は弱かった
- カーブは23球で被打率1.000。メジャーでは武器にならなかった
なお球種別の数字は母数が小さい。カーブは23球、チェンジアップは12球しかなく、1球の結果で数字が大きく振れる。断定を避け、傾向として読むのが妥当だ。
母数の小さい数字は、持ち上げる材料にも切り捨てる材料にもならない。表を眺めていると、つい大きく読みたくなるのだが。
3. 「浮き上がる真っ直ぐ」はメジャーで通用したのか?
牧田のフォーシームは、NPB時代の記述で平均約128km/h・最速137km/hとされる(Wikipedia・2026-08-06確認)。地面すれすれのリリースから投げ上げる軌道は、打者に「浮き上がる」ように見えると語られてきた球だ。
そのフォーシームは、メジャーでも被打率.227・空振り率29.9%・奪三振率28.0%を記録した。5球種の中で、空振りを最も取ったのがこの遅い真っ直ぐである。
メジャーの平均球速に遠く届かない真っ直ぐが、5球種で最も空振りを取る。文字にすると、すぐには飲み込みにくい。筆者も並び順を疑って、表を二度見た。
筆者の見立て:一般に、空振りを稼ぐのは変化球で、速球は「打たせる球」になりやすい。牧田は逆だった。平均約128km/hの真っ直ぐが、5球種で一番空振りを取っている。低いリリースポイントが生む見かけの「浮き上がり」は、データを見る限りメジャーの打者にも効いていた、と筆者は読む。
では、なぜ防御率5.40だったのか。フォーシーム単体の数字と、投手全体の結果は別物だからだ。35回で7本の被本塁打に加え、カーブのように明確に打たれた球種もあった。
シンカーの被打率.400と期待被打率.222の乖離が示すとおり、不運も混じっている。それでも「単一の球種が通用すること」と「5球種の組み合わせで抑え切ること」は別問題だった。データから言えるのはここまでである。
4. なぜメジャー挑戦は2年で終わったのか──時系列で追う
在籍2年間の経過を、事実のみで並べる。解釈は後に回し、まず起きたことだけを日付順に置く。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2017年11月23日 | MLB挑戦を表明(Wikipedia依拠) |
| 2018年1月6日 | パドレスと2年380万ドルで契約(同) |
| 2018年3月30日 | メジャー初登板(MLB Stats API・2026-08-06取得) |
| 2018年5月7日 | 最初のマイナー降格(Wikipedia依拠) |
| 2018年9月29日 | メジャー最終登板。結果的にMLB最後の登板に(MLB Stats API) |
| 2019年 | 傘下AAアマリロで開幕。AAAでは5登板・防御率1.35(Wikipedia依拠) |
| 2019年11月26日 | 楽天への入団合意が発表され、MLB挑戦が終了(同) |
2019年はAAAで5登板・13回1/3を投げ、3勝0敗・防御率1.35と結果を残した(Wikipedia依拠)。それでもメジャー昇格はなく、登板ゼロのままシーズンを終えている。契約2年目をマイナーで過ごし、オフに退団した。
「AAAで1.35なら、なぜ呼ばれなかったのか」という疑問は残る。ただし、球団が理由を公表した記録は確認できなかった。本記事では憶測での批評はしない。残る事実は、2018年の防御率5.40と、2019年の昇格ゼロの2つである。
答えの無い問いを長く書くほど、記事は読み物になって資料でなくなる。ここは短く畳む。
5. 牧田和久の現在──ソフトバンクの四軍投手コーチ
帰国後の楽天では、2020年に52登板・防御率2.16・22ホールドと復活した(Wikipedia依拠)。2021年オフに戦力外となり、2022年は台湾・中信兄弟でプレーして同年10月25日に現役を引退した(同)。2024年から福岡ソフトバンクホークスの投手コーチを務め、2026年8月現在は四軍投手コーチである(Wikipedia・2026-08-06確認)。
パドレスの日本人選手は歴代6名で、牧田は3人目にあたる。大塚晶文・井口資仁に続き、ダルビッシュ有・松井裕樹・森木大智へつながる系譜の中間点だ。
筆者の見立て:牧田以前の2名も在籍1〜2年の短期だった。「長く抱える」獲得に変わるのはダルビッシュ以降である。牧田は、パドレスの日本人獲得が「短期のお試し」だった時代の、最後の1人と位置づけられる。
その後続2人の持ち球も、牧田と同じStatcastのデータで読める。ダルビッシュ有の8球種と5年変遷を見ると、先発として投げた2025年は最多のシンカーでも20.1%だった。フォーシーム1球種に63.8%を預けた牧田とは、球種の散らし方がまるで違う。出典はBaseball Savant ダルビッシュ有(2026-08-05取得)。同じリリーフの松井裕樹の球種と決め球には、3年分の使用率と空振り率を並べてある。
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なお、サブマリンの日本人投手がメジャーの開幕ロースター入りした例は多くない。2018年の461球は、その希少な挑戦の一次記録として残り続ける。現地で観戦する側の目線では、リリーフの登板は試合終盤に集中する。7回に売店へ立った隙に、その日いちばん珍しい腕の角度を見逃すこともある。観戦計画を立てるなら、次の記事が参考になる。
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6. よくある質問(FAQ)
牧田和久はメジャーで通算何試合に登板した?
27試合です。すべて2018年で、35回・0勝1敗・2ホールド・37奪三振・防御率5.40・WHIP 1.26でした(MLB Stats API・2026-08-06取得)。2019年はAAA止まりで、メジャー登板はありません。
牧田和久のパドレスでの契約内容は?
2年総額380万ドルです。2018年1月6日に契約が発表されました。ポスティングシステム経由で、西武への譲渡金は50万ドルでした(Wikipedia・2026-08-06確認)。
牧田和久のメジャーでの球種は?
5球種です。フォーシーム63.8%・スライダー17.1%・シンカー11.5%・カーブ5.0%・チェンジアップ2.6%の構成でした。フォーシームの空振り率29.9%が5球種で最も高い数字です(Baseball Savant・2026-08-05取得)。
牧田和久はなぜ2年でメジャーを退団した?
2018年に防御率5.40で5月にマイナー降格し、2019年はAAAで防御率1.35ながら昇格がありませんでした。契約2年目の終了後、2019年11月26日に楽天入団合意が発表されています(Wikipedia依拠)。球団が理由を公表した記録は確認できません。
牧田和久は現在何をしている?
福岡ソフトバンクホークスの四軍投手コーチです(2026年8月時点)。2022年に台湾・中信兄弟で現役を引退し、2023年は野球解説者として活動しました。2024年からソフトバンクのコーチを務めています(Wikipedia・2026-08-06確認)。
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出典・参考リンク
- Baseball Savant 牧田和久(Statcastデータ)(2026-08-05取得)
- MLB Stats API 牧田和久 2018年投手成績(2026-08-06取得)
- Wikipedia 牧田和久(2026-08-06確認・契約経緯/降格/2019年成績/楽天以降の経歴の依拠元)
最終データ確認:2026-08-06(MLB Stats API・Baseball Savant の一次データを取得日つきで記載)
次回レビュー予定:2027-08(エバーグリーン・年1回見直し。現職の肩書きのみ変動要素)
筆者:パドレスヘッズ
本記事はデータと公表情報を元にした整理であり、予想・見解を含む箇所は「筆者の見立て」ラベルで明示している。球種別データは母数が小さく、傾向として読むこと。


