パドレスはなぜ弱い?勝率8位でも優勝ゼロ

分析・データ

パドレスは、勝率だけで見れば弱くない。MLB公式データで2020年から2026年8月17日までを集計すると、通算536勝458敗・勝率.539で、これは30球団中8位だった。ただし同じ7シーズンで地区優勝は0回である。球団としての直近の地区優勝は2006年にさかのぼる。同じ地区に、同期間の勝率が30球団1位(.629)のドジャースがいるためである。勝ち星は多いのに、順位表の一番上には出ない。それが「弱い」と呼ばれている状態の中身である。

この記事でわかること

  • 2015年から2026年までの年度別データ12シーズン分。勝率・得失点差・1点差ゲーム・対ドジャース戦を1枚の表にした
  • 「勝ちきれなかった年」がどの1年なのか。得点と失点から計算した期待値とのズレで特定できる
  • 「ドジャースに弱いから」という説明を、地区4球団を並べて検算した結果。この説明は数字では支持されなかった

数値はすべて MLB Stats API(statsapi.mlb.com)から 2026-08-17 に取得した。再現コマンドは本文に載せてある。

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1. 結論:勝率は30球団8位。弱いのは順位であって、勝ち星ではない

先に答えを置く。2020年から2026年8月17日までの7シーズンで、パドレスは536勝458敗、勝率.539だった。30球団を同じ期間で並べると8位である。

その一方で、同じ7シーズンの地区優勝は0回だ。順位表は残酷で、90勝しても2位は2位である。

期間勝敗勝率30球団中の順位
2015〜2019(5シーズン)349勝461敗.431
2020〜2026(7シーズン)536勝458敗.5398位
2015〜2026(12シーズン)885勝919敗.49117位
参考:ドジャース 2015〜20261110勝695敗.6151位

出典:MLB Stats API(statsapi.mlb.com)・2026-08-17取得。2026年はシーズン進行中の途中経過を含む。再現コマンドは python3 scripts/padres-record-pull.py 2020 2026

「弱い」で検索して出てくるのは、たいてい今週か今月の話だ。7年分を並べると、別の絵が出てくる。

「弱い」はいつの記憶か?2019年までと2020年以降で中身が違う

2015年から2019年までの5シーズンは、実際に弱かった。349勝461敗、勝率.431。5年連続で負け越し、地区順位は4位が2回、5位が3回である。

境目は2020年にある。この年から勝率が5割を超え、以後7シーズンのうち6シーズンで5割以上を維持している。

球団の歴史全体で見ると、もっと長い話になる。サンディエゴ・パドレス(San Diego Padres)は1969年にMLB球団となり、以後58シーズンで地区優勝は5回しかない。1984年・1996年・1998年・2005年・2006年の5回だ。

2007年から2025年までの19シーズンは0回で、2026年も8月17日時点で地区3位である。 勝率5割以上のシーズンは58回中22回にとどまる。

つまり「勝つが、優勝はしない」は最近の話ではなく、球団の長い性格でもある。ただし中身は2020年を境に変わった。

2019年以前は勝てていなかった。2020年以降は勝っていて、順位が付いてこない。 同じ「弱い」でも、指しているものが違う。


2. 年度別に並べると、「勝ちきれなかった年」は1年に特定できる

筆者集計:得点と失点から計算した期待値と、実際の勝率のズレ

ここでピタゴラス期待勝率という指標を使う。そのチームの得点と失点だけから計算される「本来これくらい勝てたはずの勝率」のことだ。計算式は「得点の1.83乗 ÷(得点の1.83乗 + 失点の1.83乗)」で、MLB公式の発表値ではなく筆者の計算値である。

実際の勝率がこれを大きく下回った年は、点は取れていたのに勝ちに変換できなかった年ということになる。12シーズン分を並べた。

勝-敗勝率得点失点得失点差期待勝率実勝率との差1点差延長対LAD地区
201574-88.457650731-81.446+.01122-217-55-144位
201668-94.420686770-84.447-.02719-316-68-115位
201771-91.438604816-212.366+.07219-194-76-134位
201866-96.407617767-150.402+.00522-215-115-145位
201970-92.432682789-107.434-.00226-245-76-135位
202037-23.617325241+84.633-.0168-84-04-62位
202179-83.488729708+21.513-.02521-268-87-123位
202289-73.549705660+45.530+.01930-1712-55-142位
202382-80.506752648+104.568-.0629-232-124-93位
202493-69.574760669+91.558+.01622-1910-28-52位
202590-72.556702621+81.556+.00030-238-44-92位
202666-58.532530532-2.498+.03419-165-23-73位

出典:MLB Stats API(statsapi.mlb.com)・2026-08-17取得。レギュラーシーズンのみ。2020年は60試合制、2026年は進行中の途中経過。「1点差」「延長」はそのカテゴリでの勝敗。期待勝率は筆者の計算値であってMLB公式の発表値ではない。再現コマンドは python3 scripts/padres-record-pull.py 2015 2026

表の中で1行だけ、明らかに沈んでいる年がある。2023年だ。

この年のパドレスは752得点・648失点で、得失点差は+104だった。12シーズンで最も大きい。期待勝率は.568で、162試合に換算すれば約92勝に相当する。

実際は82勝80敗、勝率.506。差は-.062で、約10勝ぶんが消えている。

内訳を見ると場所は明確だ。1点差ゲームが9勝23敗(勝率.281)、延長戦が2勝12敗。 ここまで来ると運とか流れとかいう言葉を使いたくなるが、使わずに数えたほうが早い。

地区3位・18.0ゲーム差でシーズンを終え、ポストシーズンには進めなかった。

推測: 「補強したのに勝てない球団」という印象が日本語圏で固まったのは、この2023年の1シーズンが大きい。得失点差だけを見れば強いチームで、順位表だけを見れば平凡なチームだった。どちらの記憶が残るかといえば、順位表のほうである。

翌2024年は何が変わったのか?接戦の帰結だけが逆になった

翌年の数字は正反対だ。2024年のパドレスは93勝69敗。これは1969年の球団創設以来、58シーズンで2番目に多い勝利数である(1位は1998年の98勝)。

指標2023年2024年
勝敗82-8093-69
得失点差+104+91
期待勝率との差-.062+.016
1点差ゲーム9-2322-19
延長戦2-1210-2
対ドジャース4-98-5

出典:MLB Stats API(statsapi.mlb.com)・2026-08-17取得。

得失点差はむしろ2023年のほうが大きい。違いは接戦の帰結だけである。 対ドジャースの8勝5敗は、2015年以降の12シーズンで唯一の勝ち越しだった。

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順位と人気が一致しない話は、帽子のほうがもっと極端だった。当サイトの記事へ移動する。


3. パドレスはドジャースに特別弱いのか?地区4球団で検算した

ここは自分の原稿を1本捨てた場所だ。対ドジャース戦の成績は、2015年から2026年までの12シーズンで65勝127敗、勝率.339。 数字だけ見れば、これで説明が付いたように思える。

だが同じ地区の他3球団を同じ期間で並べると、話が変わる。

球団2015〜2026 対ドジャース勝率2020〜2026 対ドジャース勝率
サンフランシスコ・ジャイアンツ82-107.43436-58.383
サンディエゴ・パドレス65-127.33935-62.361
アリゾナ・ダイヤモンドバックス77-118.39534-66.340
コロラド・ロッキーズ64-129.33228-69.289

出典:MLB Stats API(statsapi.mlb.com)・2026-08-17取得。レギュラーシーズンの直接対決のみ。再現コマンドは python3 scripts/padres-record-pull.py 2020 2026(検算2の表)。

2020年以降に限れば、パドレスの対ドジャース勝率.361は地区4球団で2番目に良い。 ジャイアンツの.383に次ぐ位置で、ダイヤモンドバックスとロッキーズより上にいる。

筆者は最初、「ドジャースに弱いから勝ちきれない」で片付けようとしていた。地区の他3球団を並べた時点で、その原稿を捨てた。

負けているのはパドレスだけではない。地区の全員が負けている。

では、何が地区優勝を止めているのか?

数字が言っているのは、もっと単純なことだ。同じ地区に、7年間で勝率.629の球団がいる。 2020年から2026年8月17日までのドジャースは625勝369敗で、30球団の1位である。

地区優勝は1球団しか取れない。勝率8位のチームが、勝率1位のチームと同じ地区にいる。 それだけで、地区優勝の欄は毎年空欄になる。

ワイルドカードでポストシーズンには届く。実際に2020年以降、7シーズンで4回出場している。

ただし順位表の一番上には出ないので、シーズン中の見出しは毎年「ドジャースを追う」になる。「弱い」という言葉が貼り付く場所は、たぶんそこだ。

推測: 日本語圏でこの検索語が出る背景には、ドジャース戦の露出量の多さがあると筆者は見ている。日本語で最も報じられる相手と、最も分の悪い相手が同じ球団になっている。


4. 「金をかけたのに弱い」は検証できるのか?できなかった

取れなかったデータの話(これも実測結果である)

この記事は当初、年俸総額と勝率を年次で並べる企画だった。成立しなかったので、その軸ごと落とした。

理由は1つ。MLBは球団の年俸総額を公式に発表していない。 公開されている数字はすべて第三者の集計であり、定義が揃っていない。

開幕時点か年末時点か、ベネフィットを含むか、贅沢税の計算基準か。基準が違えば、同じ球団の同じ年でも額が変わる。

実際に取りに行った結果を、そのまま置く。

取りに行ったソース結果
SpotracHTTP 403(機械的な取得を遮断)
FanGraphs RosterResourceHTTP 403
Baseball-ReferenceHTTP 403
The Baseball CubeHTTP 403
Cot’s Baseball ContractsProof-of-Work 型のbot対策で取得不能
stevetheump.com(1998〜2026の年俸表)サイトが停止中(2026-08-17時点)

残った2つも、揃わなかった。Statista は開幕時ペイロールを「基本給+インセンティブ+契約金」と定義している。

同社によれば2026年の最高額はニューヨーク・メッツの約3億5,222万ドルだ。最低額はクリーブランド・ガーディアンズの約6,000万ドルだった(Statista・2026-08-17取得)。ただしパドレスの個票は無料の閲覧範囲に無い。

もう1つの集計では、パドレスの2026年の額は2億2,253万2,451ドルだった(MLB Trade Rumors・2026-08-17取得)。数字は2026-08-14時点のものである。ただしこのページには算出定義の説明が無い。

定義も基準日も揃わない数字を年次で並べて「これだけ使ったのにこの勝率」と論じることはできない。 だから本記事は、金額を主軸に置かない。数字が取れないものを、取れたふりで書くほうが読者に高くつく。

裏が取れた金額の話が1つだけある。それも方向が逆だ。

2024年、パドレスは前年から年俸を約9,600万ドル削減した。その年のMLBで最大の削減幅だった。

出典はAP通信の年次調査で、球団側と選手側から集めた数字である。2024年4月9日付で報じられた(NBC 7 San Diego・2026-08-17取得)。報道ベースであり、球団の公式発表ではない。

そしてその2024年に、パドレスは球団史上2位の93勝を挙げている。

つまり「金をかけたから勝った」も「金を削ったから負けた」も、この球団の直近では成立していない。金額と勝ち星の対応は、思っているより素直ではない。


5. 残る「でも」を3つ潰す

「でも、2026年は3位で負けてるじゃないか」

3位なのは事実だ。2026年8月17日時点で66勝58敗・勝率.532、首位と8.0ゲーム差の地区3位である。

ただし勝率.532は、この球団の12シーズンで5番目に高い数字だ。得点530・失点532で得失点差はほぼ均衡しており、期待勝率.498に対して実勝率は.532。むしろ期待値を+.034上回っている。

単年で語ると、毎年結論が変わる。この記事が7年と12年の2つの窓で数えているのは、そのためである。

「でも、ポストシーズンで勝てないだろう」

これは半分当たっている。2020年以降の7シーズンで出場4回、ポストシーズン通算13勝15敗。 勝ち越してはいない。

ただし母数は28試合しかない。162試合の勝率を8位と評価した同じ基準で、28試合から「弱い」を結論するのは無理がある。

ここは断定しない。データが足りない、というのが正直な状態である。

より確かなのは出場率のほうだ。7シーズンで4回、率にして57%。2015年から2019年の5シーズンは0回だった。

「でも、来年また同じことを言ってるのでは」

その可能性はある。だからこの記事は、結論ではなく再現できる手順を置いた。

python3 scripts/padres-record-pull.py 2015 2026

MLB Stats API は公開されていて、キーも費用も要らない。来年また「パドレス なぜ弱い」と検索した人が、同じ表を自分で作り直して判断できる。 本記事の数値は月1回、公式データで取り直す。

筆者の立場:この記事で測れていないもの

筆者にはペトコ・パーク(Petco Park)での現地観戦経験がある。ただし本記事のテーマは「12シーズンの傾向」であって、スタンドから見て分かる範囲を完全に超えている。 だから体験談ではなく、公式データの集計で書いた。

測れていないものを、正直に並べておく。

  • 選手個人の貢献度:本記事はチーム単位の集計値しか扱っていない。誰の成績がどう効いたかは扱わない
  • 補強の巧拙:年俸データが取れていないので、評価する材料を持っていない
  • 監督・編成の判断:本記事のデータからは何も言えない。よって何も書いていない
  • ポストシーズン28試合の意味:母数が小さく、結論を出すには足りない

「なぜ弱いのか」を人に帰す書き方をしていないのは、遠慮ではない。手元のデータでそれを言える状態にないからである。


6. よくある質問

パドレスはなぜ弱いと言われるのですか?

勝率ではなく地区順位で語られているためです。MLB公式データで2020年から2026年8月17日までを集計すると、パドレスは536勝458敗・勝率.539で、30球団中8位でした。ただし同じ7シーズンで地区優勝は0回です。同じナ・リーグ西地区に、同期間の勝率が30球団1位(625勝369敗・.629)のドジャースがいるためです。なお2015年から2019年の5シーズンは349勝461敗・勝率.431で、この時期は実際に負け越しが続いていました(2026-08-17取得)。

パドレスの地区優勝は最後がいつですか?

2006年です。1969年の球団創設から2026年までの58シーズンで、地区優勝は5回しかありません。1984年・1996年・1998年・2005年・2006年の5回です。2007年から2025年までの19シーズンは0回で、2026年も8月17日時点で地区3位です。球団通算成績は4283勝4847敗・勝率.469、勝率5割以上のシーズンは58回中22回でした(MLB Stats API・2026-08-17取得)。

パドレスはドジャースに特別弱いのですか?

数字ではそう言えません。2015年から2026年の対ドジャース戦は65勝127敗・勝率.339でした。ただし同じ期間の同地区他球団も、コロラド・ロッキーズが.332、アリゾナ・ダイヤモンドバックスが.395、サンフランシスコ・ジャイアンツが.434です。2020年以降に限ると、パドレスの.361は地区4球団で2番目に良い数字になります。ドジャース戦で負け越しているのはパドレス固有の現象ではなく、地区全体の現象でした(2026-08-17取得)。

パドレスが最も勝ちきれなかったシーズンはいつですか?

2023年です。得点752・失点648で得失点差は+104でしたが、実際の成績は82勝80敗・勝率.506にとどまりました。得点と失点から計算されるピタゴラス期待勝率は.568で、差は-.062、162試合に換算すると約10勝ぶんです。内訳は1点差ゲームが9勝23敗(.281)、延長戦が2勝12敗でした。この年は地区3位・18.0ゲーム差で、ポストシーズンには進んでいません(MLB Stats API・2026-08-17取得。期待勝率は筆者の計算値です)。

パドレスは年俸をかけているのに勝てないのですか?

その比較は、公開データではできませんでした。MLBは球団の年俸総額を公式に発表していないためです。第三者の集計は定義(開幕時点か年末か、ベネフィットを含むか、贅沢税基準か)が揃っていません。裏が取れた事実は1つだけです。2024年にパドレスは前年から年俸を約9,600万ドル削減し、その年のMLBで最大の削減幅でした(AP通信の年次調査・2024-04-09報道)。そしてその2024年に93勝を挙げ、これは球団史上2位の勝利数です。金額と勝ち星は素直には対応していません。


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出典・参考リンク

すべて 2026-08-17 に取得。

勝率8位の中身を選手側から見る|2026年ロースターの日本人選手を実測で →

チームの数字の次は、名前のほうへ。当サイトの記事へ移動する。


初出:2026-08-17
最終データ確認:2026-08-17
取得元1:MLB Stats API(statsapi.mlb.com・MLB公式)
取得元2:AP通信の年次調査(報道ベース)/Statista/MLB Trade Rumors
再現コマンドpython3 scripts/padres-record-pull.py 2015 2026
次回レビュー予定:2026-09-16(月次鮮度パトロールで検出)
筆者:パドレスヘッズ(運営者情報
訂正の連絡先お問い合わせ

2026年の数値はシーズン進行中の途中経過であり、日々動く。本記事の数値は 2026-08-17 時点の断面として読んでほしい。ピタゴラス期待勝率は得点と失点から計算した値であって、MLB公式の発表値ではない。年俸総額については、定義の揃った年次データを取得できなかったため、本記事では比較を行っていない。

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